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クローズアップ・昭和なスーパー エスカレーター編

古いスーパーの一部分にスポットを当てて紹介する「クローズアップ・昭和なスーパー」。

今度はみんな何気なく使っている昇降装置、エスカレーターにスポットを当ててみました。

ただの動く階段と思うなかれ、実は凄く奥が深いのです。

エスカレーターの歴史は1850年代に遡る…んですがその辺は他に詳しく解説している人がいるのでそっちにお任せ。

ここでは「昭和のスーパーにあるエスカレーター」という超ピンポイントに絞って見ていきましょう。

〜黎明期の"パネルボディ"〜

デパートなんかでは戦前から存在していたエスカレーターですがスーパーにそれが設置されはじめたのは1960年代後半頃のようです。

この頃はまだ店舗も狭くデパートに設置されているような大型なものは置けないためか1人乗りの狭いタイプ、しかも基本的に上りのみの設置が主流。

そんな黎明期に活躍したのが両脇が白いパネルで覆われたタイプのエスカレーター。私は勝手に「パネルボディ」と呼んでます。

この頃はまだエスカレーターが珍しく(本当に大都市のデパートなんかじゃないとありませんでした)一種のステータスでもありました。

写真のはあんまり見かけない東芝のパネルボディ。白いパネルと赤いベルトのコントラストが綺麗な1基。

こっちは日立。なんとなくさっきの東芝より渋い雰囲気。

日立はこのパネルボディに「エスカレーン(ESCALANE)」と愛称を付けていたようです。

エスカレーンについてはここを参照。

東芝・日立と来たら三菱も忘れてはいけません。厳密にはスーパーじゃないですが立川の第一デパートにあったパネルボディ。たぶん66年製。

古いエスカレーターはこのように"ランディングプレート"と呼ばれる手前のプレートが全て銀ではない物も多いです。

 

〜ダイエーの躍進と"丸ボディ"〜

黎明期のスーパー業界に颯爽と現れ旋風を巻き起こしたのが中内功率いるダイエー。

64年には日本初のショッピングセンターをオープンさせ、60年代後半頃からは関西を中心に大きな店舗を数多く造ります。

そんなダイエーが大型店舗に設置したのがこれまた勝手に「丸ボディ」と呼んでいるエスカレーター。

両脇がパネルではなくガラス、それも丸く湾曲したガラスになっています。これは66年にオープンしたダイエー尼崎店(現スーパー玉出)の1基。

ダイエーを筆頭に多層階で大きめの店舗にはこのような2人乗りの機種(よく見る幅のやつ)が設置されていました。

この丸ボディを語るにはデパートについても話さなければなりません。

"丸ボディ"が最初に現れたのは戦後、1955年のこと。三菱製でした。

1号機は東京の日本橋三越に設置され、「デパートにふさわしいように」と両脇のガラスには全て照明が入っていて輝く豪華なエスカレーター。

それが普及していくにつれて両脇が照明の無い透明なガラスになったものが登場、スーパーなどにも採用され始めた(のだと思います)。

写真は数寄屋橋阪急(現モザイク銀座阪急)のアメリカのメーカー、オーチス製丸ボディ。

そしてこれが日本橋三越にある日本初の丸ボディエスカレーターです。どうぞ!

これです。全照明型。すばらしく輝いています。華やか。でも実は本当の1953年製ではなく改装時の1990年の物だそうです。

しかし三越の意向で53年の物をそっくりに復元してあります。わざわざやってくれた三越と三菱に感謝。

そろそろスーパーに戻りましょう。丸ボディを採用していたのはなにもダイエーだけではありませんでした。

その店が力を入れていた店舗などでは丸ボディを採用することが多かったようです。

これは広島地盤のスーパー「イズミ」の2号店、広島駅前店(現フタバ書店)の三菱製丸ボディ。

輝いてます。最近は節電のせいか光ってる所が少ないんですが…これは「部分照明型」。

丸ボディには全てが光る「全照明型」、下or上の一部だけが光る「部分照明型」、全てが透明なガラスな「全透明型」の3種類があります。

東の雄・西友だって負けてられません。1人乗りながらしっかり丸ボディ、しかも全照明型!!

西友所沢駅前店は部分照明型。

イトーヨーカドーにも丸ボディが設置された店舗がありました。12号店の川越店。

しかもめずらしいフジテック製。フジテックは日本のエスカレーター・エレベーター専業メーカーです。

三菱・日立・東芝などの大きな会社がシェアを握るエスカレーター業界の中で一人戦う孤高の存在。頑張れフジテック。

神奈川を中心に展開していた「サンコー」もダイエーと並んで丸ボディが好きだったようです。

マルエツに吸収された今でも複数の店舗に丸ボディが残ってます。写真は長津田店。

ダイエーでも関西などの一部店舗では普通のタイプ(丸ボディに対して「ストレートボディ」と呼んでます)の所がありました。

こっちはダイエーに吸収された関東ローカルチェーン・忠実屋だったダイエー大月店のエスカレーター。

同時期のダイエー店舗が丸ボディなのに対し忠実屋はストレートボディでした。

なので関東近辺のダイエーでストレートを見つけたらそこは大抵元忠実屋店舗です。

〜その後のエスカレーター達〜

70年代に入るとスーパーマーケットは売上げをぐんぐん伸ばし巨大市場へと成長します。

各社は多層階で上にはレストラン、屋上には遊園地とまさにデパートの縮小版とも言えるような店舗を続々とオープン。

かつては上りのみの設置が多かったエスカレーターは上下に設置されデパートと比べても遜色無い設備となりました。

元忠実屋のダイエー東大和店にて。この頃の忠実屋お得意の吹き抜け、そして2台並んだ東芝のエスカレーター。

実に開放感のある空間の使い方です。オレンジのベルトも珍しくて◎。。

70年代末期になってもダイエーは丸ボディを守り抜いていました。日本橋三越の1号機からのDNAを受け継ぐ三菱製。

写真の1基は取材に行った店舗の中で一番新しいと思われる79年開店のダイエー小平店にあったものです。

時にはデパートかと思わせるような茶色いベルトのものまで。西友の巨大店舗・常盤平店にて。

これもデパートっぽい、威厳を感じる立派な1基。実に堂々としています。ダイエー向ヶ丘店にありました。

〜最近のエスカレーター〜

80年代以降は私の調査対象外(というか興味外?)なのであまり詳細が分からないのですが印象的だったのが"オートスロープ"と言われる代物。

ダイエーが新業態の"ハイパーマート"をオープンさせた際に設置したのが知っている中では一番古いです。

これです。カートがそのまま乗れるように段差が無いタイプのエスカレーター(厳密にはエスカレーターの親戚?)。

今でこそコストコなどでおなじみですがそれより前にダイエーは採用していました。先を読みすぎたんでしょうか…

長い直線部分と緩やかに傾斜したステップ部分がおもしろいです。

80年代中盤頃からはこんな感じのシンプルなものが主流となっていきます。

さらに平成に入る頃には両脇がほぼガラスとベルトだけのスリムな物まで登場しました。

で、最近でもだいたい写真のようなやつが主流となっています。

しかしエレベーターと違って店内が改装などされてもそのまま残っているエスカレーター。

古くからある店舗に行けば(特にダイエー)丸ボディにも会えるかも。

他にも全国には変わったエスカレーターがたくさんあるのですがそれはまたの機会に紹介しましょう。

クローズアップ・スーパーエスカレーター編、やたらマニアックな内容になってしまいましたがいかがだったでしょうか。

これを気に何気なく普段乗っているエスカレーターを観察してみるのも一興かもしれません。

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2012/4/30作成開始

2013/1/3更新

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