昭和なスーパーめぐり番外編・日本橋三越本店
言わずと知れた百貨店の雄、三越。一時期は小売業売上げ日本一を誇っていました。72年に大躍進したダイエーに抜かれてしまうのですが…
そんな三越の本店であり最大の旗艦店舗がここ日本橋三越。現在の建物は大正3年にオープン。さらに昭和10年に増築して現在の姿になりました。
日本初のエスカレーターを設置したのもここの店舗。そして戦後、いわゆる"丸ボディ"と呼んでいるタイプのエスカレーターが最初に設置されたのもここ。
これは隠れ(隠れてないか)エスカレーターファンとしては一度行ってみたいなとか思っていたのですが遂にやってきました。
最寄り駅はそのままずばり「三越前」。駅のホームに入った3本の線も三越を表しているらしいです。広告も三越だらけで三越づくし。
駅のエスカレーターから金色ですよ!幸先いいスタートですね。さすが三越。
ランディングプレートの模様も斜めで珍しいです。
もちろん三越は駅直結です。向かう途中にも三越の看板。
しかし伊勢丹と共用のものも…三越と伊勢丹は経営統合して「三越伊勢丹ホールディングス」となっています。百貨店の衰退を実感する瞬間。
では三越へGO!…と行きたいんですが歴史的建造物にも認定されたその外観を見るため一回地上に出る事に。
風格を感じるプレート。で、一回店内に入ってすぐ外に出てみると…
うわ!すごいゴージャス!かっこよすぎ!
なんか風格を感じます。さすが本店。
三越には必ず置いてあるライオン像もなんとなく威厳を感じるような。
他の三越にあるライオンはこれが母型となっているらしいです。
東京都指定歴史的建造物の認定&解説プレート。読めないと思うので下に書き出しておきます↓
東京都選定歴史的建造物 所在地 中央区日本橋室町1-4-1
三 越 本 店 設計者 横河民輔 中村伝治
建築年 大正3年(1914)
三越は、延宝元年(1673)に「越後屋」として創業した。「三井呉服店」を経て、「三越呉服店」となり、大正3年(1914)には鉄筋コンクリート造による大規模な百貨店の新築を行った。
当時の建物はネオ・ルネッサンス・スタイルの壮麗な建築で、5階建て一部6階、中央部に5階までの吹き抜けのバロック的大空間をもっていた。その後、震災で損傷し、昭和2年に復興するが、さらに昭和10年全館の増改築が完成し、現在見られるような規模となった。
建物中央部の吹き抜けホールは、アーチ状の天窓からの光がホール全体を照らし、5階までの各階にはバルコニーがめぐり、アール・デコ風のデザインが目につく。そこに展開する装飾性豊かな空間は見事である。
東 京 都 生 活 文 化 局
改修して耐震診断にもばっちり合格。大正3年の建物が改修まで受けて現役で頑張っているって凄いです。
いつもあのダイエーは古いだのこっちのジャスコがどうだの言っていたのが一気に吹き飛ぶかのような古さ。
でも大規模小売店舗はちゃんとあるわけです。やっぱりこれを見ると親近感が…だって100年前のデパートとその辺のダイエーが同じプレートなんですよ。
しかしちゃんとデパートに見合うような重厚なデザインになっています。
各柱に毎回取り付けてある三越プレート。
大通り左側の入り口。こっちがメインのようです。大店法プレートもここにありました。
何度見ても凄い入り口です。
やっと全景。これは反則でしょ…ジャスコが束になってもこの風格は出せませんよ。まさに歴史の重み。
角の部分一つとっても見どころがありすぎ。
隣にある三井のビルも何やら凄いです。こっちは昭和4年竣工。国の重要文化財です。
凄いビル同士がならんだ凄い光景。
側面入り口。抜かりありません。
最近の建物には出せないような重厚感。
見上げてみました。上の方は増築っぽいですね。
地下鐵入口。鉄じゃなくて鐵。
ここはうちのサイトらしくいつものように後ろ姿も行っときます。しかし後ろもばっちり決めてますね。
従業員入口にもちゃんと装飾がされています。
その横にあるのは搬入口。
ここにまで凝った意匠がなされています。
カッコいい搬入口選手権があったら(絶対無いと思う)かなり上位入賞でしょう。
反対側から後ろ姿。スーパーと違って基本的にどの角度から見てもOKなように設計されています。
毎回言ってますが裏だけ質素なスーパー建築の方が異質なんだと思います…
一周まわったしそろそろ入りましょう。カッコいいのでここの入り口から入ります。
さらにしつこく撮影。そろそろ首が痛くなりそうです。
真っ先にエスカレーターへ。これが日本橋三越のエスカレーター。残念ながら日本初の方は戦時中に武器を作る材料なんかとして回収されてしまいました。
しかし戦後に設置された丸ボディ1号機はその姿を現代に伝えています。完全照明型で輝くゴージャスな1基。ボディも金色です。
ランディングプレート。あれ?新しくない?と思ったあなたは鋭いです。
実はこれ、1990年の改装時に設置されたもの。改装の際にわざわざ旧型の丸ボディを復元して設置してくれました。
ナイス三越、そして作ってくれた三菱。
エスカレーターはもう1か所にも設置されています。こっちもばっちり丸ボディですよ!
これが後に一部だけ照明になった
こういうやつに進化して、さらに完全に透明になった
こんなのとなるわけです。全ての始まりは日本橋三越から。
こっちはさっきのとランディングプレートの模様が違いました。
光の中を進んでいきます。
これはわざわざ見に来た甲斐がありました。
エスカレーターに見とれてしまいましたがエレベーターも負けちゃいません。ドアからしてこんな感じ。もはや芸術作品。
これはメインエレベーターとは離れた所にあった若干存在薄めなエレベーターです。
ドア上インジケータもただ者ではありません。
呼び出しボタン。ここはシンプル。
ドアが開いたので乗り込むとなんとOTIS!
地味な方だったんで貸し切りです。ガラス張りのドア。
操作パネル。手動運転も出来るようになっています。
OTIS。エレベーターの状態が分かるインジケータが付いています。
ボタン。タッチ式っぽい感じ。
手動運転用のボタン。ちなみにここ日本橋三越本店ではメインエレベーターの真ん中2基だけエレベーターガールのいる手動運転を今でも行っています。
ドアの上にはインジケータはなくフロア案内のみ。
OTISさん。
これは自動運転ですがフロアのボタンを押すと「○階までご案内いたします」と親切な放送が入ったりします。
そんなエレベーターで屋上までやってきました。屋上はガーデニング売り場。
相変わらずカッコいい建物。
あとのスペースは広場になっています。特に遊具などは置かれていない純粋な広場。
ステージなんかもあります。
昔はかなり高い存在だったであろうこの建物もすっかり周りの高層ビル群たちに見下ろされてしまっています。
神社はちゃんとあります。
階段もすごい重厚感。
階段って建物が改装されてても割と昔の面影を残している所が多いんですよね。
100年前からこんな感じだったんでしょうか。
メインエレベーターの登場。全部で6基もあります。
未更新(手動運転機)の呼び出しボタン。矢印の形をしています。
ドア上インジケータ。
こっちは自動運転機(更新済み)のドア上インジケータ。微妙に違うのがわかるでしょうか。
残念ながら手動運転の方は来なかったので自動運転で降ります。もちろんOTIS製。
さっきの離れたエレベーターより新しそうです。
手動運転関連のキーも省略されています。
やっぱりカッコいいドア。これをちゃんと残している日本橋三越に感謝。
ちなみに満員になるとドア上インジケータの上にある丸いランプが光ります。書体がレトロ。
そしてやっぱり圧巻なのは中央ホールでしょう。5階まで突き抜けています。
すげー!!どっかの西洋のお城かなんかを思わせる壮大な吹き抜け。
中央にそびえ立つ像は通称「まごころ像」。詳しい事はここに書いてありますのでどうぞ。
昔は一部のお金持ちくらいしか入れなかったであろうこんな場所に気軽に行けるなんていい時代になりました。
歴史的建造物なのに自由に出入りできるのも百貨店ならでは。銀行やら官庁の施設なんかだとそうはいきません。
店内ご案内までレトロなものでした。
おまけ。本館(左)と隣に建つ新館(右)。
手前の白っぽい部分は新館というか駐車場のようです。
飾る日も 飾らない日も 三越と。
新館の定礎。平成16年10月と結構新しいです。実は最近出来たばかりの新館。
それなりに綺麗なのですがやっぱり本館を見てしまうといまいちインパクトに欠けますね…
角に建った特徴的な新館。一社提供番組のテレビ東京系「レディス4」で出てくるやつです。
車がいなくなった瞬間を撮影。なかなか楽しめた今回の日本橋三越訪問でした。
スーパーもいいけどたまにはデパートも悪くないですね。歴史の重さを実感。
エスカレーター・エレベーター好きにもナイスな物件でしょう。
==店舗データ==
店舗正式名 |
三越日本橋本店 本館・新館 |
所在地 | 東京都中央区日本橋室町3-14-1 |
開店日 | 1914年9月15日 |
階数 |
本館:地下1階/地上7階/屋上 別館:地下2階/地上10階/屋上 |
店舗面積 | 490000平方メートル(本館)、15000平方メートル(新館) |
エレベーター/エスカレーター | OTIS/三菱(地下一階のみ東芝) |
営業時間 |
1〜3F:10〜20時 4F〜:10〜19時(レストランは11時〜22時) |
アクセス |
電車:東京メトロ銀座線/半蔵門線 三越前駅直結 |
駐車場 |
あり(5か所、場所によって料金が異なります 2000円以上お買い上げで90分〜180分無料) |
備考 |
丸ボディエスカレーター1号機(の復元版)があります。 |
2012/5/5作成開始