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古い扇風機のメンテナンス(日立H-625/1967)
最近は暑い日も多いですが…夏本番に入る前に扇風機のメンテナンス記事です。
数年前に発火による死亡事故があって以来破棄される事も多くなった古い扇風機。
しかし首振り角度調整や超微風モード、レトロで涼しげなデザインなど最近の機種には無い魅力があります。
今回はそんな古い扇風機を今でも安全に使っていけるように事故予防も兼ねてメンテをしました。
同年代(60年代末〜70年代)の機種なら似たような方法でメンテナンス出来ると思います。
今回ばらすのはこんな扇風機です。縦に操作部が付いているのが特徴的な日立製の機種。
67年に生まれたのでもう40歳を超えています。こうなると部品の経年劣化などが心配です。
まずは死亡事故の発火原因にもなりほとんどの古い扇風機の事故の原因でもあるコンデンサを交換します。
この機種の場合は操作部分にコンデンサがありますが機種によってはモータカバーの中にある物もあります(サンヨーや三菱はそっちの方が多いかも)。
矢印がある部分がコンデンサ。
劣化してくると弱にするとまわらなくなったり回転が不安定になったりします。
そして最悪の場合絶縁劣化を起こして短絡、そこから内部のプラスチックやほこりに引火して火が出ます。
左が外したコンデンサ。右が新しいコンデンサ。
電子部品屋に売っているメタライズドフィルムコンデンサで代用出来ます。交流回路なので電解コンデンサのような極性がある物は絶対に使用しないで下さい。
またメタライズドフィルムコンデンサの耐圧は直流で書かれている事が多いので耐圧はなるべく大きい物にすると安心です。
古いコンデンサを外して新しいコンデンサを繋げたら本体に固定。
今度はモータの整備です。ほとんどの機種は矢印のねじを外すとカバーは外れます。
カバーを外したところ。モータが出てきました。
うしろにある金色の部分はおもり。付いてない機種の方が多いです。
まずは首振り部分。ここのふたを外します。
中にはこのように羽の回転を首振りの運動に変えるギアが入っています。
古いグリスが固まっている事があるのでグリスアップ。ふたを元に戻したら手で軽く軸を回してうまく動くか確認します。
表側のカバーも外しました。隙間に入ったほこりなども除去して奇麗にしておきます。
注油をします。この年代の機種はたいてい写真のように穴があいています。ここが注油ポイント。
内部にはフェルトのような物が入っていて軸にゆっくり油が浸透するようになっているようです。
首を支えている部分。首振り機構のためここも複雑になっています。ほこりが溜まりやすいので掃除した後グリスアップ。
下に見えるワイヤが引っ張られる事で写真のように首の動く範囲を制限しています。
外装も奇麗にします。くすんだメッキ部分はピカールで磨くと…
当時の輝きを取り戻しました!メッキ部が多いのもこの年代の機種の特長。光っているとカッコいいです。
操作部分や台座も磨いたら羽やガードを元に戻して手で回して軽く動くか確認します。
それが終わったらいよいよ試運転。
元気にまわりだしました!
弱にしたり強にしたりして正常にまわるか、連続運転させてモータが熱くなったり変な臭いがしたりしないか確認します。
異常がなければ修理完了です。お疲れ様でした。
これでしばらくは安心して使っていけそうです。ただ万が一の事を考えて就寝時や出かけている時には使用せずコンセントを抜いておいた方がいいかも。
古い扇風機は金属部品が多くどっしりとしていて安定感があります。羽や軸の精度もいいようでぶれも少なく音も静かです。
最近の機種は子供が倒しただけで首がもげたりするので…(←経験済み)
→この扇風機の紹介記事へ(準備中)
2010/6/12作成