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不定期コラム・ラジカセ考察

60年代に登場して以来身近な音楽機器として普及してきたラジカセ。最近ではiPodをはじめとするデジタル音楽プレーヤーに押され肩身が狭くなっている気もしますが…

そんなラジカセは当時のブームを反映し数々の変化を遂げてきました。このページでは簡単にですがラジカセ登場時から現在までのラジカセをみていきたいと思います。

第一世代・1960〜70年代

ラジカセ黎明期〜BCL・生録ブームまで

1967年に松下、1968年にはクラウンとアイワから、当時普及してきていたカセットテープレコーダにラジオチューナを一体化しワンタッチで録音出来る機器が発売されます。

このあたりが日本でのラジカセの歴史の始まりです。

この頃の機種はレベルメータ・テープカウンタなども装備し作りがしっかりしています。流石に現在ではゴムベルトの劣化などによりカセットが故障している場合もありますが結構丈夫で今でもラジオはばっちり聞ける物が多いです。

↑ラジカセの1号機アイワTPR-101…と思われていましたが、どうもナショナル(松下)RQ-231が一足先だったとのことです。

当時はどこが1番乗りだと争っていたわけでもなく、厳密な「これが1号だ!」との断定は難しそうです。

ただし、この1967-68年ごろがラジカセが出始めた時期だということは確かです。

 

当時は3バンドチューナと言えば現在のようなAM/FM/TVではなく短波が聴けるのが一般的でした。

最初は地味にテープレコーダーのカタログの隅に乗っているようなラジカセでしたがだんだんと普及を始め、各社が多機能・高機能化を進めていきます。

↑1973年発売のソニーの傑作機・CF-1700。当時よく売れたようです。

 

 

70年代に入ると、海外の放送局など遠くの電波の受信をする「BCL」ブームが起きラジカセにも高性能なチューナを搭載した機種も登場。

そしてこの頃からラジカセは当時の少年達からも人気を集め、雑誌で特集を組まれたりするようになります。

機能もどんどん追加されオートシャットオフやスリープ機能、ダイヤルライト(ラジオのチューニングスケールが光る)、マイクミキシングを始め2ウェイスピーカやハイポジ録音、テレビ音声受信、ワイヤレスマイクなどかなりの機能が増えていきました。

↑BCLブーム時代の名機"BCL-255"ことアイワTPR-255(左)とナショナルRQ-544(右)。

 

↑ワイヤレスマイクを装備した"音のマック"ナショナルRQ-552

 

 

 

そんな中、ラジカセにもひっそりとステレオ化の波が押し寄せていました…

↑初のステレオラジカセ・ソニーCF-2550

第二世代・1970〜80年代

「ジルバップ」デビュー〜大型化まで

最初の頃はステレオラジカセは高価でそんなに売れていなかったようでしばらくはカタログの後ろの方に少し載っているだけのような状態でした。

その後もしばらくはモノラルラジカセと共存しているような状態でしたが1977年、ソニーから「ジルバップ」ことCF-6500が発売され大ヒット。

どんどんステレオラジカセは高機能、高音質になっていき当時のモノラルラジカセのターゲットだった若者達もステレオラジカセに流れていったようです。

そして昭和53〜4年頃になるとステレオラジカセとモノラルラジカセの立場が逆転してきます。

↑ステレオ化の流れを押し進めた(?)ソニーの大ヒット作"ZILBAP"ことCF-6500(1977年発売)

LRのレベルメータを強調したデザインは斬新でした。

 

 

 

こうしてステレオ化が進み、当時はこうしたでかいラジカセを肩に担ぐのがファッションのようにまでなってきました。

その後も進化していったステレオラジカセはLEDレベルメータやスピーカを強調したデザインなどどんどん派手になっていきます。

 

 

↑巨大ラジカセの究極形(?)シャープの「ザ・サーチャーW」GF-909

 

 

この時代のラジカセは当時の録音メディアの主役だったテープの機能が強化されメタルテープ録音やドルビーNR、オートリバースなどに加え自動頭出し機能(上級機になると10曲やら8曲前後まで指定可能)が付いた物が多く存在しています。

ほとんどの機種に外部入力が付いているためiPodなどのデジタルオーディオプレーヤやパソコンなどを繋ぐ事ができ音質にもパワーのある物が多く現在でも当時の高級機などは中古でも結構な値段で取引されています。海外でもかなりの人気があるようです。

 

しかしそんな大型ラジカセも80年代入ると早くも次第に次の世代への流れが…

↑ナショナルの「DISCO M」RX-5700。同社のメタル対応ラジカセ1号機だったようです。

 

第三世代・1980年代

フアッションテレコ登場〜小型化まで

大型ラジカセ全盛期だった1979年、何気なくデビューしたラジカセがありました。「おしゃれなテレコ」ことサンヨーの「MR-U4」です。

初期のモノラルラジカセから続く「REC」の愛称を与えられた機種で当時は小型機はモノラルが多かった時代にミニステレオラジカセとして発売。

当時の流行だったシルバーボディに派手な大型ラジカセから引き継いだ2本のFMアンテナが特長です。

↑初代「おしゃれなテレコ」サンヨーMR-U4

 

 

当時の大型化に耐えられなくなっていた人が多かったのかこの機種は大ヒット。その後他メーカからも類似機種がたくさん発売されます。

MR-U4はmkII、mkIIIとモデルチェンジし、その後ダブルカセットモデルやCD搭載機を発売し現在まで続いています。

最初の頃は大型ラジカセの雰囲気を残したゴツい感じの物が多かったのですがだんだんとカラフルでポップな物が増えていきます。

↑80年代に浸透しだした外国製の安物ラジカセ(韓国製)。同デザインで文字などが違うものをいくつか観た事があります。

 

 

この時代の機種は上位機はフルロジックカセットにVHF/UHF音声多重放送受信可能、外部入力などを装備した小さいながらも多機能な物が多いのですが同時に各種機能を省いた廉価機も普及してきます。

さらに海外製の安物機もたくさん出て来るので中古で入手の際はこの辺にも注意です。

また、レベルメータやテープカウンタは無いものが多いようです。

3.5世代・1980年代後半

「CDラジカセ」の出現〜重低音時代まで

1982年、CDが発売されオーディオ・音楽界に大きな変化をもたらします。

12cmという小型で頭出しや早送りもワンタッチのこのメディアは段々とそれまでの主役だったレコードに変わり普及していきます。

そして1984年にソニーから初のポータブルプレーヤD-50が発売され低価格な事もあり大ヒット。本格的にCD時代に突入します。

↑初代CDラジカセ・ソニーCFD-5

 

 

そんな中ラジカセにもCDプレーヤを搭載した機種が発売されました。ソニーの「CFD-5」です。

当時流行っていたファッションテレコから派生したスピーカ分離型ラジカセ「CFS-7000」をベースにポータブルプレーヤD-50を一体化した物でした。

その後も各社はファッションテレコをベースにしたCD搭載機を発売しますがそこまでの大ヒットにはならなかったようです。

↑初期CDラジカセの「SUGAR・CD」こと東芝RT-CD2。「SUGAR」は東芝のフアッションテレコのブランド名でした。

↑「おしゃれなCDテレコ」サンヨーMR-V2CD

 

 

上写真のように初期のCDラジカセはダブルカセット機の片方のカセットをCDに変えたようなデザインでCDは縦に入れる物がほとんどでした。

そんなこんなでCDラジカセはいまいちぱっとしない中、またしてもソニーからある機種が発売されます。

↑重低音ブームの火付け役、初代「ドデカホーン」ソニーCFS-DW60

 

 

バブルラジカセファンにはおなじみの(?)「ドデカホーン」です。

ファッションテレコをベースに重低音専用スピーカを搭載したラジカセで本体が小さなラジカセの弱点だった低音不足を解消しました。

↑ドデカホーンへの松下の対抗策(?)重低音システム「XBS」を搭載したRX-FW39

しかしこれ以降松下はサブウーファ搭載機は出さなかったようです。

 

 

この流行りだしてきた重低音ラジカセと登場して間もないCDラジカセをくっつけた「ドデカホーンCD」が発売されまたヒット。

この辺りから一旦は小型化に進んだラジカセは再び大型化への道を歩みだしていきます…

第四世代・1980年代後半〜90年代前半

大型化再び〜「バブルラジカセ」まで

「ドデカホーン」のヒット以来各社は低音を重視した機種を発売し始めます。

CDも一般家庭に普及しラジカセにもCDを搭載したことで本体の大きさも大きくなりスピーカなどに使える面積も増え、ラジカセは巨大化していきます。

70年代後半以降の大型ラジカセブームのときは左右のスピーカを大きくしていく機種が多かった中、内部に低音用スピーカを埋め込み低音を出すスタイルが一般化していきます。

・初期バブルラジカセ

バブルラジカセ黎明期の機種たちです。

どこと無く前世代のファッションテレコの面影を残す機種も多く存在します。

まだシンセサイザーチューナは一般的ではなくアナログチューナで液晶もCDの動作のみを表示する小さいものが多いです。

↑ドデカホーンCD初期の名作CFD-DW95。当時のフラッグシップ機です。

↑黎明期のCDラジカセの面影を残すパナソニックRX-FD56。

・中期バブルラジカセ

89年頃になると時はバブル絶頂期。無駄に豪華なものがはやった時代です。ラジカセも例に漏れずどんどんと多機能化を進めていきます。

バックライト付きの大型ディスプレイ、シンセサイザーチューナをはじめモータードライブのボリュームつまみなどの細かいところにも凝ったギミックが搭載されています。

↑オレンジのバックライトが眩しいビクターの「CDioss」RC-X770。

↑アイワもがんばっていました。ノイズリダクションにドルビーC搭載した上級機CSD-SR8。しかし数年後には…

↑シャープだって負けてはいません。なんとCDが2枚も入る超弩級機を出していました。QT-83CD。

↑パナソニックはサブウーファを搭載せず正統派の左右スピーカのスタイルで攻めていきます。RX-DT80。

 

この世代の機種は上にCD、正面にダブルカセット、シンセサイザーチューナが標準形になっています。

機能が多く迫力ある音を出す反面現在では本体の大きさがでかいのが邪魔で最大のネックだったりします(w

・後期バブルラジカセ

バブル景気も収まりだした90年代前半のグループ。

今までの正統派ラジカセスタイルから脱却した独自性を持ったものが増えていきます。

パナソニックのコブラトップやソニーのソナホークなど個性的な機種が多いのが特徴。

↑バブルラジカセといったらこれという人も多い?コブラトップ搭載のRX-DT707。

↑小型ながら迫力の音を出すソニーのソナホークZS-7。電動スタンドはリモコンで操作でき向きを変えられます。

 

93〜4年ごろになるとバブルも崩壊し、ラジカセはモデルチェンジのたびに機能が削られていきます。こうしてバブルとともに大型ラジカセの時代は終焉を迎えていきます…

第五世代・1990年代中盤〜

さらばバブルラジカセ〜安物ラジカセの台頭まで

 

〜製作中〜

随時更新します。

 

 

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