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Panasonic NV-FS90(1989) 修理編

1989年…ナショナルからパナソニックブランドへ変わるタイミングで、松下のビデオデッキは次世代へ移行しました。

メカは従来のGメカを継承しつつ高速にブラッシュアップされたIT(インテリジェント・ターボ)メカに。

折しもバブル景気も重なり、新技術とコストが惜しみなく投入されて完成度がかなり上がります。

そんな89年パナソニックのラインナップで一際完成度の高かったのが、中核を担うNV-FS70。

薄型のボディは非常にスマートながら、機能も惜しみなく搭載。よく売れたのも頷けるバランスの良さ。

そんなFS70を数年ぶりに入手してしまったのが泥沼の始まりでした。

なんでタイトルがFS90なのかは追ってわかるとして…

まずは目の前のFS70。かつてはジャンクでごろごろしていましたが、すっかり見かけなくなりました。

そのせいか、たまにヤフオクで異常な高値になることも。

今を逃したらもう入手出来なくなる気がして買ってみました。

一応動くようですが、サイケデリックな画像しか出ません。

かつてはジャンク修理サイトでも定番だったこの機種。

電源のコンデンサとHICが弱点です。

電源から行ってみましょう。

コードを止めてる部分に注意。

アースをとってるようなので、このあたりも注意です。

背面パネル側のねじも外します。

外れました。メンテのしやすさはさすが松下。

トランスへの配線があるので注意。

トランス側がコネクタになっているので外しておきます。

奥に見えるのはオーディオ用の電源部です。

ここのつめで押さえられているので、ロックを解除しながら引き抜きます。

オーディオ用の電源基板。中級機でもよく造り込まれています。

一番大きい1000μFは噴いていたので交換。

85℃品ですがオーディオ用のを奢ってやります。

そしてメインの電源部ですが…

…なかなか酷いです。これでよく電源入ってましたね。

基板をシールドケースから外します。

放熱用に素子を押さえている金具に注意。

ねじってかしめてある部分も外しておきます。

あとは基板四隅の半田を吸い取って基板を摘出。

漏れまくってます。燃えなくてよかった。

特に酷かったのが1200μF。

微妙な容量で入手しづらいのが困ります。

なんとか探して通販でゲット。

680μFも少し探しづらいです。

1200μF。派手に液漏れしてるのがわかります。

黒い方は下部が持ち上がるように変形してました。

どっちも松下製で「PSX」とありますが同シリーズなんでしょうか?

漏れた液で自分の印刷が消えかけてるのも複数見られました。

こんな状態なのでコンデンサは全交換しました。

電源なので低インピーダンス品をチョイスしています。

これで安心して使えるでしょう。

シールドケースに戻します。

 

電源OK!FL管も明るくなりました。

…しかし映像は相変わらずのサイケデリック。

続いてHICのコンデンサ交換です。

Y/C PACKにあります。

半田を吸い取り。

Y/C PACKと隣のやつを外します。

隣のやつはコネクタ接続です。

外した図。

まずはメインのこれ。

47μFと4.7μFが2つずつ。

古いコンデンサを除去。基板もやられかけてますね。

下手ですが、手持ちのコンデンサへ交換。

続いて、黒くコーティングされたこれ。

下が22μF、上が47μfでした。

最後にここ。同じく22μFと47μF。

それっぽく交換です。そして動作確認!

…しかし映像は相変わらず映らず。

いじっているとしまいには電源も入らなくなってしまいました。万事休す。

途方にくれはじめていましたが、なんとハードオフでこんなのを発見。

上位機種のNV-FS90です。しかも「映像乱れる」で500円。

確認してみると操作パネルがだめなようで操作不能でした。リモコン使えばメカ動作はOK。

こいつに先ほどNV-FS70で直したHICを移植し、動作確認してみます。

しかし、依然として画面はサイケなまま。

今度は黒コーティングのHICだけFS90のやつ(コンデンサ交換済み)に戻すと…

…映りました!

どうもFS70の黒コーティングHICがコンデンサ以外に別なところがだめになっているようです。

ここで方針転換。FS90を復活させる方向でいくことに。

ちなみに、FS90は映像処理回路が強化され別基板が追加されてるので、Y/C PACK基板はFS65/70と微妙に異なります。

映るようにはなったものの、横揺れのようなノイズが激しいです。

どうもノーメンテの電源が怪しい様子。

先ほどコンデンサをフル交換したFS70の電源が勿体ないので直してみます。

怪しい箇所を調べた結果、D10のダイオードが飛んでました。

弄りまわしてる間にどこかショートでもしたんでしょうか。

適当なダイオードを調達してきて交換、FS90についてた元から付いてた電源と入れ替え。

これで映像のノイズは嘘のようにおさまりました。

オーディオ用電源も入れ替えたいところでしたが、コネクタとコンデンサの容量が微妙に違います。

FS90用(左)はなんで左右非対称なんですかね…

とりあえず噴いてた1000μFだけ交換。

FS70のは両方1000μFでしたが、FS90は片方だけ1500μFです。謎。

操作パネルが動かないのもなんとかします。

以前なら新品取り寄せでしたが、もう部品がないのでこれを直すしかありません。

かしめを外したりしつつ、ここまでばらばらに。

フレキの真ん中部分が剥がれて浮いていて、接触していないのが原因でした。

写真のように両面テープを貼って圧着されるようにしてみます。

これで操作OK!

ちなみに操作パネルが不良になると、本体側にある電源ボタンもきかなくなります。

FS70とは微妙に機能が違い、上のスライドスイッチの配置が違います(入れ替えても基本操作は出来ますが)。

操作パネルを元に戻していきます。

フロントパネルは分厚い金属でお金かかってそうです。

あとは組み上げて復活!!

横揺れノイズも無くなり、映像も安定して綺麗に出ています。

というわけで、結局NV-FS90が復活してしまいました。

プロアモヘッドのお陰か、なかなか良い発色です。

が、FS90は追加基板の影響で背が高く、見た目の印象がだいぶ違います。

スリムなデザインのFS70に惹かれてしまうので、そのうちリベンジですね…

黒コーティングHICがないとどうしようもないので部品待ち、FS65/70で程度の悪い丁度いいのが出てくるのを気長に探しましょう。

2020/10/20作成開始

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