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Panasonic NV-FS850(1991)修理編
業界初のボイス予約機能を搭載したビデオデッキ。
時期的には「バブルデッキ」で有名なNV-BS900と同時期に当たります。FS850はBS900の下位機種だったNV-FS800にボイス予約を追加したモデルのようです。
松下のメカの最高傑作との声も多い「新快速メカ」を搭載した数少ない機種でもあります。(BS900/FS850/FS800の3機種のみ)
受注生産品で生産台数もあまり多くなく中古市場でも滅多に見かけない機種です。
いつも定番のオークション入手です。誰とも争わず500円でひっそり落札。
プチプチから出しました。これだとFS800に見えますが…
NV-FS850です。
で、登場!何やら当時のコードレス電話機みたいですが…リモコンです。
ちなみにこれが無いと機能的にはNV-FS800と変わらないようです。
状態は「テープ再生せず、挿入出来ない時あり」というものです。
動作確認の前に新快速メカでは壊れやすいギアを観てみます。
もしギア欠けしていたら動作確認でさらに状況が悪化してしまいそうなので早速分解。
…欠けてます。
さらにもう1カ所…
欠けていたのは赤矢印のギアです。左側のは「メインカム」と言いよく壊れるようです。
中央やや下に見える大きいのが後で出てくるセンタープーリ。
とりあえずギアを外していきます。まずはこのブレーキなどが乗ったパーツを外します。写真下の方に見える金色のねじで固定されています。
外すとこんな感じ。写真中央に見える白いギアを外します。Oリングで固定されているのでなくさないよう注意。
次にアームを外します。これはCリングで固定。
白いギアとアームを外した所。これがメインカムです。Cリングを外すと取れます。
メインカムを外しました。右が今回欠けていた物。
左は部品取りの初代Gメカの物。微妙に形が違います…しかもパナソニックには部品が残っていないようです。
ここで迷っていてもしょうがないので移植を決定。
そしてメインカムを破壊した原因のセンタープーリ。
このように2重構造になっていて無理な力がかかると空回りして力を逃がすようになっています。
しかしこれが固着すると力を逃がせなくなりメインカムに負担がかかって破壊されるようです。
今回は分解して洗浄しておきました。
もう1つの欠けたギアを外すにはこの扇型のパーツを外します。
書けたギア。こちらの名称は分かりませんでした…メインカムと同じ材質のようです。
これも微妙に形が違います…右が新快速メカ用、左が初代Gメカ用。
こいつも強行移植です。
*位相合わせ*
ここからは新快速メカの位相合わせです。
まずは表に返ってピンチローラ付近から。
それぞれのギアなどには赤矢印のように合わせマークが付いています。
まずはトグロカム(写真上に見える背の高い部品)の出っ張り(青矢印)とギアのマーク(赤矢印)を合わせます。
写真を忘れてしまいましたがこの際にモードスイッチ(1つ前の写真のギアのような物)とトグロカムのマークも合わせておきます。
裏に行きます。まずはこの2枚のギアを装着。
赤で囲んだ部分のギアのマーク同士を合わせ、青で囲んだ部分はシャーシの穴と合わせます。
次にこの三角形の部品をはめます。青で囲んだ部分がぴったりはまればOK。
次に割れていたギアをはめます。
取り付けたら合わせマークが青で囲んだ位置あたりに来るようにします。
その上から扇形のパーツを取り付けます。右側は赤で囲んだように一番端が噛み合うようにします。
次にメインカムとリテーナハグルマ(1つのギアの下に小さい3つのギアがぶら下がっている部品)を取り付けます。
青で囲った部分のギア同士の合わせマーク、赤で囲った部分はシャーシの穴と合わせます。
白いギアとアームを取り付けます。
また青で囲った部分のギア同士の合わせマーク、赤で囲った部分はシャーシの穴と合わせます。
緑で囲った部分にOリング/Cリングを取り付けて固定します。
その上にブレーキなどが乗ったパーツを付けます。緑矢印の部分をねじで固定。
黄色矢印のねじは外さないでも分解出来たようです。
これで位相合わせは終了です。カセコンの組み方は写真を撮るの忘れました…後日紹介します。
組み上がったのでテープをセットして動作確認。
新快速メカはフルローディングなんですね…初代Gメカしか使った事が無かったので驚きました。
交換したギアが心配でしたが普通に動作しています。
上の写真と違いが良く分かりませんが…巻き戻しもOKです。
初代Gメカとは比べ物にならないくらい高速ですね。
ローディングの度に変な音がするので見てみるとこのヘッドクリーナーから出ていました。
とりあえず動作には支障が無いようなので取っておきます。
しかしここでオークションの説明文に合った「テープ挿入出来ず」が起きました…しかも毎回ではなく突然起こります。
まずはカセコンについている接点が怪しいのでカセコンを外して点検。
これがテープが入ったのを検出しているようです。
こんな感じで分解して接点を洗浄。
しかし症状は変わりませんでした…
良く分からないのでここの接点も磨いてみます。メカの表側手前左に付いています。
確か「誤消去防止SW」だったはずですが…やはり症状は変わらず。
そしていろいろいじっているとここの下にあるバーを動かすとローディングするのが判明。
結局ここの真ん中にあるアームが付いたギアが上手く動いていなかったようです。調整して無事動くようになりました。
修理が終わりました。初めて新快速メカを使いましたがかなり快適ですね…BS900の人気がある理由が分かった気がします。
映像の方はHICも交換されていて大丈夫でしたが少しピンク病にかかって居たので「CNR PHASE」の半固定抵抗を調整して終了。
2009/9/14作成開始